Friday, December 28, 2012

ショート・ダッフル

今回で3弾目のダッフル・コート。
冬のワード・ローブには欠かせないアイテムです。
私はほぼ毎日ダッフルです。
今回のショート・ダッフルも外せません。

資料を見つけたのでショート・ダッフルについて少し補足を。

 英国軍の放出品や資料は少なく不明な点も多いのですが、
今回のショート・ダッフルは山岳部隊のアウターとしても使われていたようです。
WARP AND WOOFのブログでも紹介していますが、NURSING SISTERSと表記の入った物も有り、メディカル系の部隊にも支給されていたようです。
もしかしたらそれら以外の部隊にも使われていたかもしれません。
船上での活動や監視のため防寒性・防水性重視に作られたロイヤル・ネイビーのダッフル・コートと違い、機動性も求められる登山やスキー、救護用ですのでショート丈なのでは、と推測されます。
確かにとても動き易く軽快に着られるコートです。
裾が邪魔にならないので、車に乗る方や歩くことが多い方、自転車に乗る方には最適です!

オリジナルは白ですが、今回は白の代わりにオートミール。素朴なとても良い色です。
程良く張りと硬さがある、よく圧縮されたメルトン素材です。
もう一色はロイヤル・ネイビーのダッフルと同様のキャメル・ブラウンです。
メルトンですがオート・ミールとは別の生地で、柔らかく膨らみのある毛布の様な素材感が当時の雰囲気です。
切りっぱなしのポケットや縫い代、ポケットやトグルの補強など、仕様はオリジナル同様です。
トグルは塗装無しの無垢のまま使用していますので最初は白い状態ですが、
経年変化と使い込みによって、だんだんとアメ色に変化し、ツヤも出てきます。
下の写真は3シーズン程着こんだ私物のダッフルのトグルです。
これだけの違いが出てきます。
特に天然の素材はこういった経年変化が楽しみの一つですね。

ちなみに、トグル部分の紐は一番負荷が掛かる場所ですので、
天然素材の中でも丈夫な麻紐を採用しておりますが、
使用頻度によっては摩擦で擦り切れてしまうこともあると思います。

擦り切れてしまった麻紐の交換は可能ですのでお問い合わせください。

他にも修理などは出来る限り対応させて頂きますのでご相談下さい。

Tuesday, December 25, 2012

トラウザース試着。

平置きでは分かりづらいので当時の資料を履いてみます。

センタープレスが入っているので前からみると細身ですが、実際は脇から見た太さ位です。
程良くテーパードされたシルエットです。
サイズは調度良いのですが、私は欧米人ほど尻が大きくないのでその分尻の下に余りが出来てしまいます。(下写真)
しゃがんだり中腰の姿勢が多いスポーツやワークよりのトラウザーならゆとりが必要なので良いのですが、多すぎるゆとり(シワ)は見栄えが悪いので少し削った方が良さそうです。

後ろです。
離れたポケットやその角度に古臭さを感じます。
少し間延びして見えますが、ここにシンチ・バックを付ければバランス良くなりそうです。

巾・長さ、位置の確認のため仮に付けてみました。
シンチ・バックが付くだけで、サイズの微調整も出来て、見た目のポイントもグッと上がります!

シルエット、ディテールともにより良い物になるようにパターンを進行しつつ、
サンプルをどんな生地で作るか検討中です。

Friday, December 21, 2012

トラウザースです。

ジャケットが完成しましたので、次はトラウザーを。

ベースは1910~20年代(おそらくですが)の私物の資料です。
写真の撮り方の遠近でテーパードが強く見えますが、実際は裾巾19cm程度の細めのストレートです。
細すぎない丁度良い太さです。

1910~20年代というと、ちょうどアイビー・リーガー達のお祖父さん世代で、オックスフォード・バッグスと言われる極太のパンツが流行する前の時代です。
3つ釦のジャケットに、資料と同様の細身のトラウザースが60'sアイビーの”基”を感じさせます。
(『00's-40's VINTAGE FASHION』より) 


シルエットは良いのでそのままに、ディテールも資料とほぼ同様にする予定です。

ウエストはベルト切り替えが無いタイプで、ベルトループが付きます。
当時サスペンダー釦のタイプと、ベルトループのタイプ両方あったようです。
両脇ポケットは縫い目利用のポケットが付きます。

フロントのコイン・ポケットや後ろポケットは、極細の玉縁ポケット。
出来るだけ細く指先で揉み出すようにして作るので、揉み玉縁ポケットとも言われます。

フロントはボタン・フライで、木製の釦が使用されています。古さを感じますね。

裏の仕様は通常のスラックスと同じような仕様です。

と、ディテールと言ってもこの位で、とてもシンプルなトラウザーです。
このシンプルさが私は好きなのですが少し物足りない気もしますので、
下の画像のように後ろのダーツにシンチ・バックを挟み込むのも有りかな、と。

 サンプルの素材なども色々と考えつつ、パターン作製中です。

Friday, December 14, 2012

IVY STYLE

今年出版されたばかりの『IVY STYLE』という本。
ずっと気になっていて、最近購入してみたのでチラッとご紹介致します。

皆がイメージする1960年代の”アイビー”だけではなく、アイビーの始まりから現在に至るまで、
主に1930年代~60年代のカレッジ・ファッション(シャツやジャケット、コートがメイン)の本、という印象です。

内容はざっとこんな感じです。
 
30'sの学生の写真(格好良いです!)や、
20'sのスクール・ジャケット、
当時のシャツの広告、
古いブルックスのカタログ、
他にもレジメンタル・タイやインディア・マドラスの柄など、
当時の資料がたくさん掲載されていてなかなか見ごたえがあります。

ただ、ビンテージが好きな方には、いらないなぁと思ってしまうページも、、、。
(こんなこと言ったら怒られますが、あくまで私の個人的な感想です。)

写真と文章(英語)が半々の割合で私もまだ読んでいる途中ですが、
写真だけでも十分楽しめますし、勉強になる一冊です。

Tuesday, December 11, 2012

パーカの試着です。

一度洗いを掛けてみましたが、生地や綿糸の縮みで立体感が出て良い感じです!
このサンプルに使用したコットン/ナイロン・グログランはタテに大きく縮む生地で、
綿糸の縮みと相まって各縫い目にパッカリング(ミシン目に出来る縫い縮みや引き攣れ)が顕著に現れます。
当時のオリジナルも同様にタテに大きく縮んでいましたので、だいぶ近い雰囲気になったかと、。


では、試着画像です。

FRONT
SIDE
BACK

腕を広げるとこんな感じです。
十分なゆとりがありますし、袖下に運動量が入った設計ですので、上下左右後ろにもストレスなく腕を動かせます。

ポケットもデカイので、出し入れが楽です。
グローブをしていても余裕です。

袖口は三段階の広さに調節出来ます。
一個閉めた状態だと着脱し易い丁度良い広さです。
最大に閉めると丁度手首に収まります。

フード装着。
アノラックやマウンテン・パーカで良く見られる、胸から続いた立体的なフードです。
顔以外はスッポリ覆われるため防寒性・防風性に優れています。
更にスピンドル(紐)を絞れば防寒は完璧ですが、
街中では怪しすぎます。
普段フードを下ろしているときの衿元のシルエットが綺麗です。

私(身長156cm)のサイズに合わせて作製しましたが、
もともと大き目ですので身長170cmの男性にも試着して貰いました。
身長の分縦長に見え、格好良いです。
袖丈が合えば180cmの人でも十分行けそうです。

身長や体型を気にせずに、ざっくりとラフに着れるパーカだと思います。


今の季節に本来の用途であるオーバー・パーカとしては勿論、
春や秋の軽装に上から軽く羽織ったり、ツーリングやサイクリング等々、
幅広い用途に使えるアイテムです。


Thursday, December 6, 2012

ラブラドール・パーカ

サンプル完成です!
思った通り、良い雰囲気に出来上がりました。
形も生地の風合いも良い感じです!!
 FRONT
BACK

 ファスナー裏には風雨除けのインナー・フラップが付きます。
 ファスナーは軍物でよく使用されていたグリッパー・タイプ。黒のツヤ消しです。
フード調節のスピンドル(紐)はコットン100%のろう引き紐で、生地より濃い目のブラウンにしました。

 フードと同様、裾も黒塗りのハトメ+スピンドルが付きます。

フロント中央にはフラップ付きの大きなパッチ・ポケットが付きます。
オリジナル同様、生地を効率良く使用するためのセンター切り替えを入れました。
フラップは通常の釦からドット釦に変更。勿論、これもツヤ消しの黒。
開けるのも閉めるのもとても楽です。

袖口もゴムからドット釦にしました。
閉めない場合も含め3段階に調節出来るので、中に着るアイテムに合わせて幅広く対応出来ます。
生地の縮率を見るために一度洗いを掛けますが、
綿糸での縫製ですので、洗い後の風合いがとても楽しみです。


取り敢えず後だけですが、試着画像です。

後日、洗濯後にその他の試着画像アップ致します。