Monday, February 25, 2013

王道のデザインで。

”絵本アイビーボーイ図鑑”でも、クラシックなワードローブとして
ノーフォーク・ジャケットが紹介されております。
ノーフォーク・ジャケットと聞いて思い浮かべるような王道的なデザインです。
左右の両肩からポケットや裾までのボックス・プリーツ、釦止めのウエストベルト、
腰には大き目のパッチ・ポケットが付きます。
勿論、後ろの肩からもボックス・プリーツが入ります。
この独特のデザインが20代の時にはオッサンくさいと思って敬遠していたアイテムですが、
なぜか今はとても気になる作ってみたいアイテムの一つになっています。

年代は不明ですが、イラストとそっくりな古い写真がありました。
ステッキにバックパックにチロリアンハットが
どこかヨーロッパの登山者か羊飼いかと思われるとても素敵な写真です。
いかついイメージのノーフォークジャケットですが、
この写真のようなカッチリし過ぎないラフで自然な着こなしが私は格好良いと思います。

実用書の方には数種類のバリエーションが掲載されておりますが、
それらを参考に形の良い物を作りたいと考えております。

Saturday, February 23, 2013

衿元には。

先日紹介のノーフォーク・ジャケットなどの古い資料を見ると、
衿元の装飾にはアスコット・タイをしている写真が多く見られます。
かっちりし過ぎず、スポーティでエレガントな印象です。
アスコット・タイは英国のアスコット競馬場の名前にちなんで付けられた名前です。
ここに集う紳士達に新しいネック・ウェアとして取りいれられ、好んでフロックコートの衿元に飾った事からアスコットタイという名称が使われるようになったそうです。
当時、競馬場は紳士・淑女が集う社交場であり、レースの観戦は礼装するのが習わしでした。
立ち衿シャツにアスコット・タイが礼装です。
元々は細長いスカーフの様な物を複雑で面倒な結び方をしますが、
略式の結び方から生まれたアスコットスカーフやパフタイと呼ばれるカジュアルな物もあり、
1950~60年代にはシャツやスポーツジャケット、コートの下に結ぶのが流行します。
結び方もバリエーション豊富で、簡単です。
通常のネクタイもビシッと決まって良いですが、
アスコット・タイのようなふんわりとしたエレガントな感じもお洒落です。
コーディネイトの巾が広がるワードローブに取り入れたいアイテムです。

Tuesday, February 19, 2013

ノーフォーク・ジャケット

ノーフォーク・ジャケットは、スコットランド・ノーフォーク地方に由来、
又はノーフォーク公爵が狩猟用に着た上着のデザインが発祥とされるジャケットで、
1860年代位に登場し1880年代には一般的に着用されるようになったと言われております。

ノーフォーク・ジャケットと聞くと下の写真のデザインを思い浮かべます。
最初のモデルとなったジャケットがどんなデザインであったのかが不明ですので、
初めからこの形なのか、改良されてこの形になったのかは分かりませんが、
この独特なデザインがたまりません。
元々はハンティング用ですが、時代とともにゴルフやサイクリングなどの様々なスポーツにも使用された万能なスポーツ・ジャケットとなったようです。
デザインのバリエーションもとても豊かです。
先日ご紹介した英国の実用書にも、王道的なノーフォーク・ジャケットのデザインを始め
数種類のデザインの作図が掲載されています。
今、気になる、作ってみたいジャケットの一つです。

Friday, February 15, 2013

半分まで。

トラウザーズの縫製に入る前に、アイロンでセンター・プレスを致します。
生地の状態で先にプレスする事により、製品完成時に簡単で正確なセンター・プレスが入れられます。

プレスが終わりましたら、まずは後ろヒップのダーツの縫製です。
ダーツにはシンチ・バックが、更にシンチ・バックにはベルト・ループが挟み込まれます。

次にポケットをそれぞれ作っていきます。
後の揉み玉縁ポケットや、
同じく揉み玉縁のウォッチ・ポケット、脇ポケットの作製です。
ポケットが一番手間と時間が掛かります。

オリジナル同様、ウォッチ・ポケットには縞スレーキを使用致します。

スレーキと芯地でウエスト裏のマーベルトを作成致します。
出来あがったマーベルトを付けて、右側はほぼ完成となります。
シンプルなデザインですので、やはりシンチ・バックが良いポイントです。

同様に左半分を作り、左右を合体させれば完成です。
なかなか良い感じに出来上がりそうですので、とても楽しみです!

Tuesday, February 12, 2013

裁断完了です。

トラウザーズの裁断が完了致しました。
デザインやシルエットは勿論ですが、
更に当時の雰囲気を出す為に、使用する生地の種類を増やしました。
内側の股部分にはシックを付けますが、オリジナルと同様に縞スレーキを使用致します。
(シックは、汗や股ズレによる内股の摩耗を防止する補強布の事です。)
 股のこの菱形の部分です。
当時のトラウザーズには時々見られますが、部分使いの縞スレーキがお洒落です。
右腰のウォッチ・ポケットの袋布にも縞スレーキが使われております。
ポケットの袋を濃いめのベージュにしましたので、今回はそれに合わせて暗めの縞スレーキに致しました。
黒×茶の渋めのストライプです。
このような感じになります。
内側の仕様ですので外からは全く見えないですし、シルエットに影響するわけでもありませんが、
こういうちょっとしたディテールに古臭さを感じ、惹かれてしまいます。

Friday, February 8, 2013

トラウザーズの生地と資材です。

今回サンプルに使用する生地は、チャコール・グレーの中肉厚のオックスにしました。
グレー色がスーツのイメージですが、よりスポーティでカジュアルに着たいと考え、色はスーツ定番のチャコール・グレーのままに、素材をウールでは無くコットンにしました。
織りは通常のオックスですが、タテ糸に黒、ヨコ糸にライトグレーの杢糸を使用したシャンブレーになります。

腰裏やポケット袋にはオリジナル同様に綿スレーキを使用します。
オリジナルは生成り色ですが、
汗染みや汚れが余り目立たないように、少し濃いめのベージュ色のものを使用致します。

ウエスト裏にはマーベルトと言われる腰裏が付きます。
出来合いのものも有りますが、今回は綿スレーキと厚手の芯で作製します。
マーベルトを作製する分、作業工程が多くなってしまいますが、
バイアス(斜め)に使用した生地がウエストによく馴染みますのでとても履き心地良く、
見た目も美しい仕様となります。

オリジナルに付く釦は木製のものが付いており、雰囲気は良いのですが、
実際の使用にあたって割れたり欠けたりする事が心配になります。
耐久性や耐洗濯性を考え、今回は似寄りの形状の樹脂製釦に致しました。

仮縫い後の修正を終え、細かい型紙も完成致しましたので、
これから裁断、サンプル作製に入ります。

Tuesday, February 5, 2013

家の掃除をしていたら、。

いらない本などを詰めていた箱から、すっかりと忘れていた資料が出てきました。
1900年初頭頃と思われる英国の実用書です。
ジャケットやトラウザーから軍服、ワーク・ウェアまで、たくさんの製図が載っている、今でいう教科書のような存在です。
海外の、しかも古い時代のこの手の本はなかなか見れないので貴重です。
当時の作図の仕方や形、バランスなどとても参考になります。
ジャケットやトラウザーだけでも多くのバリエーションが紹介されており、見ているだけでも楽しくなります。
当時の人とは体型も違いますし、西欧人と日本人の違いも有りますのでいろいろと修正は必要でしょうが、
この製図でパターンを作っても面白そうです。