Friday, November 30, 2012

サンプル完成です!!

釦ホールに少し時間が掛かってしまいましたが、ジャケットのサンプル完成です!
FRONT
BACK

ラペルは段返りではなく、第一釦に沿って返る設定です。
上2つ掛けで綺麗に折り返るのは勿論、
中1つ掛けでも自然で美しいロールを描いてラペルが返ります。

左のラペルには本来の第1釦があった名残りの釦ホール(飾り)が付きます。

ただ、釦の色が表生地の色に合い過ぎました、、、。
全体がボンヤリとして見えます。
裏地に合わせてもう少し赤めの釦にするか、
金や銀のメタル釦にすれば締まりが出来て良かったように思います。

他にもウエストの絞りや袖、衿・ラペルの形状、ゴージ・ラインの位置など細かい点も含めて改善する所は多々あります。
それらを次に活かしつつ更に良いものを作りたいと思います。

ディテール詳細は以前の記事もご覧ください。

来年2月販売予定のボタン・ダウン・シャツにも合わせたいジャケットです。

試着画像は後日アップ致します。

Tuesday, November 27, 2012

巻き縫い。

パーカ縫製中ですが、縫い代の始末について。

オリジナルのパーカは、ワーク・ウェアやシャツなどでよく使用される、
2本針の環縫いミシン(チェーン・ステッチ)で巻き縫いされています。

巻き縫いは、下の写真のように縫い代を互い違いに噛みあわせながら縫製していく始末です。
生地端が完全に隠れるので表も裏も綺麗に仕上がり、とても丈夫です。

更にチェーン・ステッチは通常の本縫いミシンに比べて解れにくく、
摩擦などで途中糸が切れても一気に解れたりする事が少なくて済みます。

ミシンに巻き縫い用のラッパ(生地を噛み合わせるための金具)を取り付けて縫えば、
生地端の処理と縫製が1工程で出来る作業効率の良い始末の仕方でもあります。

ただ、2本針環縫いミシンはとても高価で、しかも巻き縫いの縫製には技術も必要ですので、
これを持っている工場さんは限られてしまいます。

今回のサンプルは工場さんには出さず事務所で作るので普通の本縫いミシンを使用します。
2本針環縫いミシンよりも手間は掛かりますが、巻き縫いで作製中です。

試し縫いです。
 先にそれぞれアイロンで折っておきます。
 直線どうしを合わせる場合は不要ですが、曲線の場合は噛み合わせがずれないように
2つを仮止めします。
仮止めしたら縫い代を噛み合わせて、1本目のステッチを入れます。
続けて、2本目のステッチ。
仮止めのミシンを抜いて、
ようやく1つの縫い目が出来あがります。

1つの縫い目におおよそ6工程掛かり大変ではありますが、サンプルはこれで進行中です。



当時のヴィンテージ同様の雰囲気を得るためには形やデザインはもちろん
こんなちょっとした縫製仕様も重要な事だと思います。

Saturday, November 24, 2012

裁断。

ラブラドール・パーカのサンプル用の生地が届きました。
コットン×ナイロンの素材感が最高です!

早速、裁断に入ります。
まずは大きな容量を締める身頃から。

身頃を裁断して余った部分でフードやポケットなど細かいパーツを、なるべく無駄が出ないように取っていきます。
無駄なく裁断出来ればその分使う生地も少なくて済み、それが値段にも反映されますしエコでもあります。

袖の裁断です。
通常は写真の様に、袖の中心を生地のタテの地の目(地の目:布地のタテやヨコの織り目の事)に合わせます。
出来た時の仕上がりは綺麗ですが、見ての通り左右に無駄な部分が出来てしまいます。

当時ワーク・ウェアやアウトドア・ウェアにおいては、見栄えももちろん重要ではありますが、丈夫さと機能の高さ、更に安価である事が求められました。

無駄を無くし多くの枚数を効率良く取れるように、生地巾に合わせて地の目を変えたり、切り替えが入ったものがビンテージの物によく見られます。

ミミ(セルビッチ)を使ったジーンズや古いワーク・シャツに見られる袖の切り替え、ワーク・パンツの股の切り替えも同様で、無駄を省き量産の効率を上げるために考えられた仕様です。


当時の資料は袖下のラインに生地のタテ目を合わせています。

このように取るよりも、


このように取った方が巾の狭い生地に対応出来ます。

ただ、サンプルはオリジナル通りではなく、袖の中心を地の目に合わせて取りました。
今回使用する生地の巾が広めなので、この方が無駄なく裁断出来ます。

これで全パーツの裁断が終了です。

次は縫製に入ります。

Tuesday, November 20, 2012

やはり自分サイズが欲しいので。

前回紹介したラブラドール・パーカ。
オリジナルの表示サイズは”M”とあり自分には大きめです。
裄丈から換算すると私のサイズはXS相当になりますが、当時はS~LまでしかなくXSは存在しません。
それならば作るしかなかろうと、まずはパターンを作成してみました。

もともと重装備の上から羽織るオーバー・パーカですので、MからXSにサイズ展開しましたが、普通の洋服から比べるとやはり身幅は大き目です。
前後のパターンを並べると140cm以上あるテーブルからはみ出す位ですが、
そのデカさ特有のゆったりとした丸みのある独特のシルエットが私は好きです。
モッズ・パーカーと言われるM‐51やM‐65等のフィールド・パーカを着たときのシルエットに近い雰囲気です。


サンプルに使用する生地はアウトドア・ウェアよく使用されるコットン60%ナイロン40%の
所謂ロク・ヨンと言われるグログラン・クロスです。色はカーキにしました。
高密度の細いタテ糸(ナイロン)にヨコ糸(コットン)が覆われるようにして織られた、
耐久性と撥水性に優れた当時のハイテク素材です。


オリジナルは衿や裾のドローコードを通す穴が釦ホールですが、
使用による摩擦で擦り切れてほつれないように金属性のハトメへ変更。
 カーキの生地に黒塗りのハトメが付きます。


袖口もゴム(オリジナルは伸びきってしまっています)から、
 ドット釦で2段階の調節可能な仕様に変更。

これの方が便利ですし、ゴムの劣化の心配もありません。

写真は50~60年代のアウトドア・メーカーのアノラックの袖口で、こんなイメージですね。

勿論、フロントに付くファスナーも黒塗りの予定です。

ベージュやカーキに黒の配色が好きという理由もありますが、
本来は軍用やハンティングにおいて金属が光に反射して敵や獲物に気付かれない為の黒です。


サンプルが出来たらまたアップ致します。


Friday, November 16, 2012

アノラックも良いですが、。

またついつい手が伸びてしまいました。
50’s~60’sのラブラドール・パーカと言われるアノラックです。
第二次大戦時US ARMYにも採用された形でもあります。
 左が第二次大戦時のUS ARMY(1941)のリバーシブルのスキー・パーカ、
右が民間製の軍のテストサンプルらしいと、あります。
リバーシブル以外ほぼ同様の仕様です。
民間の良い物は軍に取り入れられ、軍で開発された良い物は民間にも拡がります。
このパーカもその一つだったと思われます。
リバーシブルにはなりませんが高密度に織られた撥水性のあるコットン・ポプリンを二重に使用した贅沢な作りです。
ジッパー裏にはフラップが付き、防風性・防水性を高めています。
ポケット無しだったり胸の一文字ポケットが多いアノラックの中で、
特に冬時期、手を突っ込めるこのカンガルー・ポケットが重宝します。
服+装備の上から着用するオーバー・パーカですので、
サイズは大き目でその分着脱は楽です。
ただ楽とは言え、アウターですので屋内に入った時など脱ぎ着する機会が多く、
それが面倒ですし脱いでる姿はちょっと間が抜けてしまいます。

アノラックのゆったりした丸みのあるシルエットが好きですが、実用性やタウン・ユースのことを考えるとやはりフル・ジップの方が便利とも思ってしまいます。
そんな中、オリジナルのユーティリティ・パーカなんかは比較的ゆとりのある設定で形がアノラックに近く、
しかも脱ぎ着が簡単です。機能的で実用性もありシンプルなデザイン。
こういうアイテムが一番使いまわしが効くので個人的には理想的なウェアと言えます。
今の時期はざっくり羽織れて暖かいウール・メルトン・パーカが大活躍です。

来春には、前回すぐに完売してしまったユーティリティ・パーカも生地を変更して企画中です。
こちらもとても楽しみです。